日本人にとって春といえば桜、そして桜といえば桜餅が思い浮かびますが、桜餅にも関東風と関西風の2種類あります。
関東風は長命寺桜餅、関西風は道明寺桜餅と呼ばれていますが、桜餅のそもそもの由来は墨田区にある長命寺だとされています。
主に東日本で食べられているのが長命寺桜餅、そして主に西日本で食べられているのが道明寺桜餅と言われてきたのですが、近年ではどうやら道明寺の方が優勢という調査もあります。
ところが山陰地方の島根・鳥取、特に島根県では西日本の中にありながら「桜餅」といえば、何故か関東風の長命寺桜餅が一般的なのです。
地元の人間からは「桜餅ってこれが普通だと思ってた。」という声が聞かれます。
「出雲新風土記」(太田直行著)によれば、明治初期に松江藩元家老有沢宗閑が、藩の御用菓子司だった面高屋に東京の長命寺桜餅を紹介し、それをヒントに作ったのが松江の桜餅の始まりなのだそうです。
やがてそれが島根県内全域やお隣の鳥取県に広まったのだと思われます。
島根県雲南市には、全国的にも珍しい緑の桜「御衣黄(ぎょいこう)」があり、毎年春には花見客でにぎわいます。
その御衣黄にちなんだ「みどりの桜餅」もあり、地元で親しまれています。
また更に変わったところで、出雲にはシソの葉の桜餅もあります。
塩漬けした赤シソの葉で包んだ、香り高い桜餅もおいしいですよ。