出雲地方には、出雲大社を代表とする「大社造」の建築様式の神社がたくさんありますが、知っておくと楽しいまめ知識をご紹介します。
神社の建築様式は、出雲大社に代表される大社造、伊勢神宮に代表される神明造、住吉大社に代表される住吉造と大きく分けて3種類あります。
それぞれの建築様式には次のようなルーツがあると考えられています。
■大社造(ほぼ正方形の田の字形):祭祀の場に使われていた宮殿が社殿に発展
■神明造(奥行きより幅が大きい長方形):穀物を貯蔵した高床倉庫から発展
■住吉造:大嘗祭の建物から発展
出雲地方に多い大社造の特徴は、切り妻・妻入りの造りであり、また心御柱を中心とする田の字形の構造となっています。
祀られている主祭神が男神様か女神様かによって、屋根の上の装飾である千木の形や、ご本殿内部の構造が異なります。
神社の屋根の両端にX字形に組み合わせた部材があり、これを千木と呼んでいます。
出雲大社や須佐神社など祭神が男神様の神社の場合、千木は先端が垂直にカット(外削ぎ)されており、これを男千木(おちぎ)といいます。
大社造のご本殿は、心御柱(しんのみはしら)を中心に9本の柱が田の字形に並ぶ、ほぼ正方形の構造で、入り口は真正面より右側に寄ってついています。
出雲大社などの男造(おづくり)と呼ばれるご本殿の場合は、中に入ると正面に仕切りがあり、心御柱を中心に右回りに進むと、ご神座が左向きに配置されています。
神魂神社や揖屋神社は女神様であるイザナミノミコトを祀っていますので、千木の先端が水平(内削ぎ)になっており、女千木(めちぎ)といいます。
またご本殿は女造(めづくり)と呼ばれ、出雲大社など男造のご本殿と左右反対の構造になっています。
すなわち、入り口から左回りに移動すると、ご神座が右向きに配置されています。
出雲大社御本殿の高さは現在約24mですが、社伝によれば中古にはその2倍の16丈(約48m)、上古には32丈(約97m)あったと伝わっています。
長くそれは伝説とばかり思われていたのですが、2000年から翌2001年にかけて境内で巨大な古代の柱が発掘され、大変な話題となりました。
その柱根は、直径1m以上の杉の巨木3本を束ねて1本の柱とする特異な構造で、束ねた心御柱の直径は何と約3.6mもあったのです。
このことから、中古には約48mあったという社伝が現実味を帯びてきます。
また上古の約97mというのは、ほぼ八雲山の高さに当たるため、初期段階に八雲山の磐座で祭祀が行われていたことを示すのではないかという説もあります。
心御柱(しんのみはしら)は出雲大社境内の宝物殿に、また宇豆柱(うずばしら)は隣接する古代出雲歴史博物館に展示されています。